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Rootless Land
今や東京湾で自然の海岸を見ることは稀で、コンクリートと鉄で造られた壮大な景観に取って代わられている。
「150年前、ここは海だったんだよ。」と、おじさんは公園を駆け回る少女に語りかけた。
少女の驚いた表情を見て、かつて彼も似たような年頃の子供だった時、同じ話を聞かされて目を丸くしていたことを思い出した。
この場所は今でこそ埋立地だが、以前にはあたり一面、底なしの深い海が広がっていただなんて誰が信じるであろうか。
日本では遡ること11世紀から埋め立てが行われており、当初は港の整備や食料生産の農業利用の問題を解決することを目的としていたようだ。
それから歳月を経て、環境保護が声高に叫ばれるようになるまで、経済的な理由から化学工業や重工業の発展に寄与していた。
その後、急速な経済成長は住宅やレクリエーションに対する需要を押し上げ、埋立地での新たな施設建造に拍車をかけた。
埋立地の造成は、人口密度が高く弓なりに長い日本の国土に大きな恩恵をもたらす反面、海岸の自然環境を破壊し、本来ならば起こるはずのない自然災害を招いてしまった。
現在、日本では需要の減少に伴い、埋め立て事業に遅れが生じているようだ。
東京湾の埋立地は膨大な量の産業廃棄物を埋めることを目的とした最終処理場として今は使われている。
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